歌劇「イオランタ」チャイコフスキー作曲 (あらすじ/内容)

「イオランタ」 作品69は、ピョートル・チャイコフスキーが作曲した全1幕のオペラ。この作品がチャイコフスキーの最後のオペラ。台本を書いたのは作曲者の弟であるモデスト・チャイコフスキー。初演は1892年12月18日にサンクトペテルブルクで行われました。

登場人物

ルネ(バス)プロヴァンスの王
ロべルト(バリトン)ブルゴーニュ公爵
ヴォデモン伯爵、ブルゴーニュの騎士
エブン=ハキア(バリトン)ムーア人医師
アルメリック(テノール)ルネ王の鎧持ち
ベルトラン(バス)城の門番
イオランタ(ソプラノ)ルネ王の盲目の娘
マルタ(コントラルト)ベルトランの妻でイオランタの乳母
ブリギッタ(ソプラノ)イオランタの友人
ラウラ(メゾソプラノ)イオランタの友人
その他

あらすじ

時代:15世紀
場所:南フランスの山あい

第1場

王女イオランタは生まれつき盲目でした。彼女が王女であると本人に告げた者はいまだおらず、彼女自身もそのことを知りませんでした。王の地所内部で閉ざされた美しい庭に住み、ベルトランとマルタの庇護のもと、世界から隔絶されて過ごしていました。付き人は彼女に花を届け、歌を歌います。イオランタは自らの悲しみと、皆が感じ取ることのできる大切なものを見逃してしまう自分のおぼつかない感覚を表現します。父のルネ王は彼女に彼女自身の盲目を悟られてはならない、さもなくば許嫁のロベルト公爵にこのことが知られてしまうと力説します。

第2場

王の到着を告げた後、アルメリクはベルトランより注意を促されます。イオランタと光のことを話してはならず、彼女の父親が王であると明かしてはならないというのであります。王とともに到着したエブン=ハキアは有名なムーア人医師であり、イオランタは回復可能であると述べます。しかし、自分の盲目を知ることを通じ、精神的に備えがなされたときにのみ肉体の治療が有効になるといいます。エブン=ハキアはモノローグ「2つの世界」を歌い、精神と物質を重ね合わせる神聖な定めのこの世界にあっては、心と身体が相互に依存するのだと説明します。イオランタが知らなかった世界を学んだ後になって万一治療が失敗した場合の不幸を案じ、王は治療を拒否します。

第3場

ロベルトが友人のヴォデモン伯爵と宮殿に到着します。ロベルトはヴォデモンに対し、マチルダ伯爵令嬢に恋心を抱いてしまったため結婚を避けることを希望していると伝えます。彼はアリア「誰を私のマチルダに比べられよう」により愛を歌います。ヴォデモンはイオランタの秘密の庭の入口に気付き、侵入者は何人であっても死罪とするという警告を無視します。眠りの中にあるイオランタを目にした彼は、それが誰かもわからぬままたちまち恋に落ちます。ロベルトは友の行動に驚きながらも、彼女が彼を魅惑する魔女であると確信します。ロベルトは立ち去るよう促すが、ヴォデモンは恍惚としています。ロベルトは友人を救うべく、連隊を引き連れるために出ていきます。イオランタが目覚め、ヴォデモンは記念として赤いバラを授けてくれるよう彼女に頼みますが、2度にわたって彼女が白いバラを渡したことからイオランタが盲目であることを知ります。彼女には光や見える、見えないといった概念がありません。ヴォデモンが彼女に光と色について教え聞かせ、2人は惹かれ合います。

第4場

2人は王に見つかります。ヴォデモンはイオランタの目が見えようが見えまいが関係のない自分の愛を誓います。自分が盲目であることをイオランタが知った今ならば治療が成功するかもしれないと、エブン=ハキアは王に告げます。イオランタは見たいという意志を持たないため、治療に同意してよいものか自信を持てません。エブン=ハキアは意志がないこと、内的な欲求がないのであれば、変化は訪れずに終わるだろうと指摘します。

ヴォデモンが庭の入口にある警告文を目にしたことを認めると、激昂した王はイオランタに真実を明かしたかどで彼を処刑すると脅します。王はイオランタに対し、もし医者の施術でも視力の回復が叶わなかった場合はヴォデモンは死ぬことになると伝えます。これは彼女が意志を取り戻すのを願ってのことでした。慄いたイオランタは治療に同意します。エブン=ハキアがイオランタとともに出ていくと、王はイオランタを治療へ向かわせるべく一芝居打ったのだとヴォデモンに説明します。ロベルトが連隊を引き連れて戻ってきます。彼は別の人物を愛していることを王に認めるものの、合意された婚姻を進める意思もまだ持ち合わせています。王は結婚の約束を破棄し、イオランタをヴォデモンに託します。エブン=ハキアとイオランタが戻ってきます。治療は成功し、イオランタの目は見えるようになりました。イオランタは新たな授かりものにはじめは戸惑いますが、目にすることが叶った魔法のような新たな世界を歌にします。宮殿は喜びに包まれて幕となります。

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