「トスカ」は、ジャコモ・プッチーニのオペラ。全3幕で、台本はルイージ・イッリカとジュゼッペ・ジャコーザの2人によるもの。初演は1900年1月14日、ローマのコスタンツィ劇場で行われました。

演奏時間
1時間50分(第1幕45分、第2幕40分、第3幕25分)

登場人物

フローリア・トスカ:有名な歌手(S)
マリオ・カヴァラドッシ:画家でトスカの恋人(T)
スカルピア男爵:ローマ市の警視総監(Br)
チェーザレ・アンジェロッティ:前ローマ共和国統領(B)
スポレッタ:スカルピアの副官(T)
堂守:聖アンドレア・デラ・ヴァレ教会の番人(Br)
その他羊飼い(S)、看守、聖歌隊・市民など(合唱)
S:ソプラノ、T:テノール、Br:バリトン、B:バス

あらすじ

第1幕

逃亡した政治犯アンジェロッティが隠れ家を求め、彼の一族が礼拝堂を持つ聖アンドレア・デラ・ヴァレ教会にやってきます。ここには妹のアッタヴァンティ侯爵夫人がやってきて兄の解放を祈っています。その際彼女は気づきませんでしたが、画家マリオ・カヴァラドッシが教会の注文で描いているマグダラのマリア像のモデルにしていました。 一族の礼拝堂に隠れるとすぐに堂守が、続いてカヴァラドッシが登場します。堂守は画家が絵筆を洗うのを手伝います。カヴァラドッシは少し仕事を休み、ポケットに持っていたメダルを見つめます。このメダルにはトスカの肖像が描いてあり、彼は描きつつある肖像の青い目に金髪のモデルと、黒い目に茶色の髪のトスカとを比較して歌います(妙なる調和)。
堂守はカヴァラドッシのアリアの間、絵のモデルが礼拝に来る夫人であることに気づき呆れて、「ふざけるなら俗人にして、聖人は敬ってくれよ」と合いの手で歌い、画家に促されて退場します。カヴァラドッシは一人になりますが、物音でアンジェロッティのいることに気づきます。彼は旧知の画家と知って隠れ場所から出てきて、サンタンジェロ城(牢獄)から逃げ出してきたことを話します。そこへトスカが外から「マリオ!」と呼ぶので、カヴァラドッシは彼に飲み物を与えて隠れるように言い、アンジェロッティは再び礼拝堂に身を隠します。
トスカはマリオとその夜遅く会う約束をするため来たのですが、ドアの外から話し声を聴き、カヴァラドッシの落ち着かない態度を見て、嫉妬心から彼が誰か他の女性との密会をしていたと疑いまう。カヴァラドッシを別荘でのデートに誘いますが、彼が描いた女性の顔を見てその疑いは確信に変わります。ですが、マリオの説明を聞いてその場は納得し、肖像の眼の色を黒にすることと、夜に会う約束をしてその場を去ります。
アンジェロッティが再び現れ、脱出計画を話し合います。カヴァラドッシは彼に自分の別荘の鍵を渡し、アンジェロッティは妹が祭壇に隠していた女性の服を着て脱出するというものでした。その時サンタンジェロ城で砲声が響き、アンジェロッティの逃亡が発覚したことを告げます。彼は急いで逃げ、画家も同行します。
堂守が大勢の少年合唱隊や待者ともに戻ってきます。彼らはナポレオン軍がマレンゴの戦闘に敗れたという誤報を信じ、神に感謝してテ・デウムを歌います。そこへ警視総監スカルピアが副官スポレッタおよび逃亡した囚人を捜査する部下を何人か従えて登場します。聖堂の礼拝堂で、伯爵夫人の扇と空になった籠を見つけ、疑いを抱きます。
彼は疑い深く堂守を尋問すると、カヴァラドッシが礼拝堂の鍵を持っていないこと、彼は食事を食べないといっていたことがわかります。そこへ疑い深いトスカが戻ってきます。教会は人で溢れ、枢機卿がテ・デウムの準備をしています。スカルピアはトスカの様子を物陰から伺ったあと、彼女に扇を見せて嫉妬心を煽ると、彼女は立腹しその場を去ります。スカルピアは部下に彼女のあとをつけるように命じると、トスカに対する恋心を情熱的に歌います。教会ではテ・デウムが始まり、彼もその祈りに和しつつ、目指す男とトスカを二人とも手に入れるのだと歌います。

第2幕

スカルピアが公邸としているファルネーゼ宮殿で夕食を取っています。外では戦勝祝賀会の歌声が聞こえます。彼は家来にトスカをリサイタル終了後に呼ぶように行かせます。彼は皮肉交じりにトスカを自らの権力で屈服させるのだと歌います。

スポレッタが拘留したカヴァラドッシとともに登場する。アンジェロッティはからくも逃れたのでした。スカルピアは画家を尋問しますが彼は白状しません。そこでカヴァラドッシを別室で拷問にかけます。そこに入れ替わりにトスカが登場し、スカルピアに恋人の苦痛のうめきを聞かされると、ついに堪えきれずにアンジェロッティの隠れ場所をしゃべってしまいます。画家が部屋から引き戻され、彼女が秘密を漏らしたことを激しく詰ります。
そこに伝令が登場し、ナポレオンがマレンゴでオーストリア軍を破っていたことを知らせます。動揺するスカルピア達の面前でカヴァラドッシは勝ち誇って激しく勝利を歌うので牢屋に連行されます。 後を追おうとするトスカを、スカルピアが呼びとめます。彼女は賄賂で助命を得ようとしますがスカルピアは恋人を自由にする代償として彼女の身体を求めます。トスカは絶望し、何故このような過酷な運命を与えたのかと神に助けを求めて祈ります(歌に生き、愛に生き)。スポレッタが戻ってきてアンジェロッティが自殺したことを告げ、カヴァラドッシの処遇をたずねます。
トスカが観念したと見たスカルピアは、スポレッタに対しカヴァラドッシの見せかけの処刑を行うよう命令します。パルミエリ伯爵の時と同じだ、と説明するのを意味ありげに聞き、部下は退出します。 トスカはイタリアを出国できるよう、スカルピアに通行証を求めます。スカルピアが書類を書いている間、食卓のナイフに気づいたトスカはそれを隠し持ちます。書き終えたスカルピアがトスカ、とうとう我が物と迫るところを、トスカはこれがトスカのキスよといってナイフで胸を刺します。息絶えた彼の手から通行証を奪うと、トスカは信心深く遺体の左右に燭台をおき、十字を切ると遠くの太鼓の音をききつつ去ります。

第3幕

第3幕の舞台 サンタンジェロ城
サンタンジェロ城の屋上にある牢屋と処刑場。朝を告げる鐘の音と羊飼いの牧歌が聞こえます。カヴァラドッシは夜明けに行われる処刑を牢屋で待っています。彼は司祭との面会を断り、看守に指輪を与えてトスカに伝言を渡すよう頼みます。別れの手紙を書き始めますが、自らの死と恋人との別れを想うと絶望して泣き崩れます(星はきらめき)。
トスカが現れ、驚くカヴァラドッシに通行証を見せ、これまでのいきさつを語ります。空砲で見せかけの処刑が行われること、恋人の助命を引き換えに身体を要求したスカルピアを、彼女が刺し殺したことを聞き、カヴァラドッシは彼女の手をとって「おおやさしい手よ」とトスカの愛情と勇気をたたえます。時間が迫ったことを告げる彼女にカヴァラドッシは君ゆえに死にたくなかったと語りトスカと互いの愛情を歌います。
看守がカヴァラドッシに時が来たことを告げます。 トスカに見送られて刑場に赴くカヴァラドッシに彼女はうまく倒れてねと言葉をかけ彼も劇場のトスカのようにと応じる余裕を見せます。
並んだ兵士たちが一斉に発砲し、カヴァラドッシは倒れます。トスカは彼の演技がうまいとほめます。隊長が規則通り剣でとどめを刺すのをスポレッタが制し、一同去ります。 兵士たちが去ったのをみてトスカはマリオに近づき、逃げようと声を掛けるが彼は動きません。
処刑は本物でした。スカルピアは最初からカヴァラドッシの命を救うつもりなどなかったのです。パルミエリ伯爵もそのようにして欺かれたのでしょう。 トスカは死んで横たわるカヴァラドッシの傍らでスカルピアの計略を悟り、マリオの名を呼んで泣き叫びます。そこにスカルピアが殺されていることを知ったスポレッタが兵士と共に駆け寄り、彼女を殺人罪で逮捕しようとしますが、彼女は逃れ、サンタンジェロ城の屋上から身を投げます。


第3幕から 星はきらめき プラシード・ドミンゴ