「蝶々夫人」は、プッチーニによって作曲された2幕もののオペラ。原作はジョン・ルーサー・ロングの短編小説「蝶々夫人」とこれを戯曲化したデーヴィッド・ベラスコの「蝶々夫人」、台本はジュゼッペ・ジャコーザとルイージ・イッリカ
、初演は 1904年2月17日、イタリア、ミラノのスカラ座。

登場人物

蝶々さん(蝶々夫人)(ソプラノ)
ベンジャミン・フランクリン・ピンカートン(テノール)
シャープレス領事(バリトン)
脇役とされる登場人物
ヤマドリ公爵(バリトン)
勅使
ゴロー(テノール)
ボンゾ(蝶々さんのおじ。「坊主」か?)(バス)
スズキ(メゾソプラノ)
ケイト・ピンカートン(ピンカートンのアメリカ本国での妻)(メゾソプラノ)
その他の登場人物
登記係
蝶々さんの母
蝶々さんのおば
蝶々さんのいとこ
薬師手(バリトン)
蝶々さんの子
蝶々さんの知り合いと船乗りたち

演奏時間
約2時間20分(第1幕50分、第2幕60分、第3幕30分)、初稿:約2時間30分(第一幕60分、第二幕90分

あらすじ

時と場所:1904年の長崎。

第1幕

アメリカ海軍の戦艦エイブラハム・リンカーン所属の海軍士官ピンカートンは日本人の少女と結婚することになります。
結婚斡旋屋のゴローが、長崎にきたピンカートンに、結婚後に暮らす丘の麓の家や、下女のスズキや下男を紹介して機嫌を取っています。
そこへ駐長崎領事のシャープレスがやってきます。ピンカートンはここでアリア「ヤンキーは世界のどこへ行っても」を歌います。シャープレスは優しい心の男であり、ゴローが紹介した少女がこの結婚が永久の縁と堅く信じていることを思い出し、戸惑います。そこへ蝶々さんが芸者仲間とともに現れます。このとき「さあ一足よ」を歌います。シャープレスが可憐なこの15歳の少女に身の上を問うと、実家は大村の没落士族の家であると答え、父から頂いた切腹のための刀の入った箱を披露します。それにより、座は一時しらけてしまいますが、ゴローによって結婚式の準備が進められます。蝶々さんは前日にキリスト教に改宗したことを告げます。 三々九度など一連の結婚の儀式が済んだ頃、蝶々さんの叔父のボンゾが現れます。彼は蝶々さんの改宗を怒って詰問しますが、ピンカートンに追い払われます。うろたえる蝶々さんを慰めるピンカートン。2人はここで愛の二重唱「可愛がってくださいね」を歌います。

第2幕

結婚式から3年が過ぎました。ピンカートンは任務が終わり、アメリカ合衆国に帰ってしまっていました。彼は蝶々さんに「コマドリが巣を作る頃には帰ってくる」と約束していました。蝶々さんの忠実な下女スズキは彼は既にそれらを反故にしたのではと疑いますが、ピンカートンを信頼する蝶々さんにとがめられます。 きっと夫は帰ってくると信じてやまぬ蝶々さんは、ここでアリア「ある晴れた日に」を歌います。
その頃、シャープレスはピンカートンがアメリカ本国でアメリカ人女性と結婚したことを本人の代わりに蝶々さんに告げることになっていました。しかし蝶々さんの夫への信頼を見た彼は、それを壊すようなことはできませんでした。蝶々さんはピンカートンの手紙を見て喜びます。そこへゴローが裕福な紳士ヤマドリ公を連れてやってきます。ヤマドリ公は蝶々さんに結婚を申し出ますが、夫からの手紙に喜んでいる蝶々さんはそれを拒否します。ゴローは蝶々さんは離婚された妻であると説明しようとししましたが、蝶々さんは激しく断ります。ゴローとヤマドリ公がすごすごと帰ってしまうと、シャープレスと蝶々さんは「友よ、見つけて」を歌います。
そして、シャープレスがピンカートンが帰ってこなければどうするのか、と蝶々さんに問いますと、芸者に戻るか、自刃するしかないと答え、困惑したシャープレスが「ヤマドリ公の申し出を受けてはどうか」と勧めると、「あなたまでがそんなことを言うのか」と怒り、シャープレスに彼女とピンカートンとの子供を見せ、「わが夫がこの子を忘れようか」と言い放ち、「子供のために芸者に戻って恥を晒すよりは死を選ぶわ」と泣き叫びます。シャープレスはいたたまれずに去っていきます。
スズキは蝶々さんの悪評を拡げようとするゴローを捕まえます。蝶々さんにとって悪い話が次々と届く中、遠くにピンカートンの所属艦エイブラハム・リンカーンが兵員の到来を礼砲で告げていました。それを望遠鏡で見つけた蝶々さんとスズキは喜び、家を花で飾り、二重唱「桜の枝を揺さぶって」を歌います。そして自分達と子供を盛装させ、障子を通して、ピンカートンの帰りを待ちます。夜が過ぎ、長いオーケストラとのハミングコーラスのパッセージが演奏される中、スズキと子供は眠ってしまいます。

第3幕

夜が明けた蝶々さんの家。蝶々さんは寝ずの番をしています。スズキは目覚め、子供を蝶々さんのもとへ連れて行きます。スズキは憔悴した蝶々さんを休むよう説き伏せます。ピンカートンとシャープレスが登場し、スズキに恐るべき真実を告げます。しかし、ピンカートンは罪悪感によって深く打ちひしがれ、自身を恥じています。余りに卑劣なことで自分の口から蝶々さんに告げることはできず、彼は義務を放り出して去ってしまいます。スズキは、はじめは猛烈に怒っていましたが、シャープレスから、蝶々さんが子供を渡してくれれば、ピンカートンのアメリカ人妻がその子を養育するということを聞き、説き伏せられてしまいます。
蝶々さんはピンカートンと会えると思い、目を輝かせて登場します。しかしピンカートンの代わりに彼のアメリカでの妻ケイトと対面させられます。蝶々さんは感傷的な穏やかさをたたえつつ真実を受け止め、礼儀正しくケイトを祝福します。これで平穏が見いだされるであろうと。それから、ケイトやシャープレスにお辞儀をし、子供を渡すことを約束します。そしてスズキに家の障子を全部閉めさせ一人きりになります。障子越しに侍るスズキに対しては、「子供を外で遊ばせるように」と命じて下がらせます。

蝶々さんは仏壇の前に座り、父の遺品の刀を取り出し、「名誉のために生けることかなわざりし時は、名誉のために死なん」の銘を読み自刃しようとしますが、そこへ子供が走ってきます。蝶々さんは子供を抱きしめアリア「さよなら坊や」を歌い、子供に目隠しをし、日米の国旗を持たせます。そして、刀を喉に突き立てます。今際の際でも子供に手を伸ばす蝶々さん。そこへ異変を聞きつけたピンカートンとシャープレスが戻ってきますが、とき既に遅く、蝶々さんは息絶えます。


ある晴れた日に マリア・カラス