アレクサンドル・ボロディンによって作曲されたオペラです。中世ロシアの叙事詩『イーゴリ遠征物語』を題材に、1185年、キエフ大公国の公(クニャージ)イーゴリ・スヴャトスラヴィチによる、遊牧民族ポロヴェツ人(韃靼人)に対する遠征を描いたもの。序幕付き4幕からなります。

登場人物と背景

イーゴリ公(バリトン) – 主人公。セーヴェルスキイの公。
ヤロスラーヴナ(ソプラノ) – イーゴリ公の2度目の妻。
ヴラジーミル・イーゴリェヴィチ(テノール) – イーゴリの先妻との息子。
ヴラジーミル・ヤロスラーヴィチ(バス) – ヤロスラーヴナの兄。ガーリチ公。
コンチャーク汗(バス) – ポロヴェツの首長の1人。
コンチャーコヴナ(アルト) – コンチャークの娘。
オヴルール(テノール) – キリスト教徒のポロヴェツ人。
スクラー(バス) – グドーク弾き。
イェローシカ(テノール) – グドーク弾き。
ヤロスラーヴナの乳母(ソプラノ)
ポロヴェツの娘(ソプラノ)

演奏時間
約3時間14分(各幕30分、45分、64分、24分、30分)

あらすじ

序幕
プチーヴリ市内。イーゴリ公は、自分の土地であるルーシの町へのポロヴェツ人のコンチャーク汗からの侵攻を防ぐため、妻ヤロスラーヴナの懇願と日食という悪い前兆を心配する人々の反対を押し切って遠征を始めます。

第1幕
第1場
プチーヴリ市内のガーリチ公の館の中庭。イーゴリのいなくなったプチーヴリではガーリチ公の思うがままになっていました。ある時、若い女性の集団が公がさらった娘を返すように請願してきたのに対し、彼と彼の取り巻きは請願にきた彼女たちを怯えさせ、追い返します。

第2場
プチーヴリ市内のヤロスラーヴナの館の居室。若い女たちがガーリチ公の横暴をイーゴリの妻であるヤロスラーヴナに訴えている最中、ガーリチ公がやってきました。ヤロスラーヴナは彼にこの話が真実であるか聞くと、彼はこの街の支配者は自分であることを宣言し、ヤロスラーヴナは大いに苦悩をします。その最中に貴族たちから、イーゴリとヴラジーミルが捕虜になり、ポロヴェツ軍の攻撃が差し迫っているという報告が届きます。

第2幕
ポロヴェツ人の陣営。イーゴリは妻を心配しながらも、遠征を失敗させ、捕虜となった自分の不甲斐なさに怒りを覚え、再び自分の大切なものを守るため戦いたいと思っています。そんな中、ポロヴェツ人でありながらキリスト教徒のオヴルールから脱走の提案を受けるも、武人としての意地から脱走への決意ができずにいました。その間に、イーゴリの息子であるヴラジーミルはコンチャーク汗の娘であるコンチャーコヴナと恋に落ちていました。 ヴラジーミルは彼女の父が結婚に賛成してくれることを分かっていましたが、ヴラジーミルは自分の父が結婚に賛成してくれるか疑っていました。コンチャーク汗はイーゴリを盛大にもてなし、イーゴリが再び戦いを行わないと約束をするならば、自由を与えると提案しますが、イーゴリはその提案に謝意を示すも固く断りました。

第3幕
ポロヴェツ人の陣営。イーゴリはルーシの街が攻撃されたことを知ります。イーゴリは脱走しようとし、ヴラジーミルに自分と一緒に逃亡しようと説得しますが、コンチャーコヴナがヴラジーミルを引き止めます。 そのためにイーゴリは一人でポロヴェツ人の陣営から逃走します。コンチャーク汗はイーゴリが脱走したことを知り、彼はヴラジーミルを人質にしたまま自分の娘婿にします。

第4幕
プチーヴリ市内。ヤロスラーヴナは捕虜となった自分の夫と息子を未だに待ち続けていました。その中、2頭の馬が見え、こちらに向かってきます。それはイーゴリとオヴルールの2人でした。そしてついに、イーゴリとオヴルールは無事に人々に歓迎されてプチーヴリに戻ってきました。


ゲルギエフ指揮 マリインスキー劇場