歌劇「椿姫」ヴェルディ作曲 (あらすじ/内容)

ジュゼッペ・ヴェルディが1853年に発表したオペラ。原題は『堕落した女』を意味するLa traviata(ラ・トラヴィアータ)。日本では原作小説『椿姫』と同じ「椿姫」(La Dame aux camélias(椿の花の貴婦人)の意訳)のタイトルで上演されることが多い。

登場人物

ヴィオレッタ・ヴァレリー(ソプラノ)高級娼婦
アルフレード・ジェルモン(テノール)青年貴族
ジョルジョ・ジェルモン(バリトン)アルフレードの父親
フローラ・ベルヴォア(メゾソプラノ)高級娼婦、ヴィオレッタの友人
アンニーナ(ソプラノ)ヴィオレッタの家の召使い
ガストーネ子爵(テノール)アルフレードの友人
ドゥフォール男爵(バリトン)ヴィオレッタのパトロン、アルフレードの恋敵
ドビニー侯爵(バス)フローラのパトロン
グランヴィル医師(バス)ヴィオレッタの主治医
ジュゼッペ(テノール)ヴィオレッタの召使い
フローラの召使い(バス)

演奏時間

約2時間20分(カット無しで各30分、50分、20分、40分)。

あらすじ

前奏曲
哀愁をおびた旋律が奏でられたのち、華やかに装飾しつつも、どこか物悲しい気分を作り、静かに終わります。

第1幕

ヴィオレッタの住む屋敷。今夜も賑やかなパーティーが開かれており、女主人は来客をもてなしています。そこへアルフレードがガストーネ子爵の紹介でやってきてヴィオレッタに紹介されます。歌を1曲歌うよう勧められた彼はいったん辞退しますが皆の再度の勧めでグラスを片手に準備をします。一同の沈黙と緊張のなかアルフレードは情熱を込めて歌い、ヴィオレッタが加わってデュエットになります。さらに皆が加わって華やかに「乾杯の歌」を歌います。

皆が別室に行こうとしたときにヴィオレッタがめまいをおこして椅子に座り込みます。何でもないからと一人部屋に残った彼女の所にアルフレードが来ます。アルフレードはヴィオレッタに、こんな生活をしていてはいけないといい、1年前からあなたを好きだったと告白します。ヴィオレッタは最初は軽くあしらいますが、彼の真剣さに少し心を動かされます。ヴィオレッタは椿の花を渡して再会を約し、「この花がしおれるころに」と歌います。有頂天になるアルフレードに「もう一度愛しているといってくれますか」とヴィオレッタが尋ねると、「はい、何度でも!」と彼は応じます。

アルフレードに続き来客が去って一人になったヴィオレッタは物想いにふけっています。「不思議だわ」と純情な青年の求愛に心ときめかせている自分の心境をいぶかります。そして、彼こそ今まで待ち望んできた真実の恋の相手ではないかと考えます。しかし、現実に引き戻された彼女は「そんな馬鹿なことをいってはいけない。自分は今の生活から抜け出せる訳が無い。享楽的な人生を楽しむのよ」と自分に言い聞かせます。

第2幕

第1場
パリ郊外のヴィオレッタの屋敷
二人の出会いから数か月が経ちました。ヴィオレッタは貴族のパトロンとの華やかな生活を捨て、この家でアルフレードと静かに暮らすことを選んだのでした。彼女との生活の幸福を語るアルフレードは、丁度帰宅した召使いから、この家での生活費のためにヴィオレッタが彼女の財産を売却していたことを聞き、気付かなかった自分を恥じるとともに売ったものを取り戻そうとパリに向かいます。

そこへヴィオレッタが登場し、彼のパリ行きを聞き、いぶかります。そこにアルフレードの父親ジョルジョ・ジェルモンが突如来訪します。驚きながらも礼儀正しく迎える彼女に、あたりを見回し「息子をたぶらかして、ずいぶんと贅沢な暮らしをしていますな」といきなりなじったため、ヴィオレッタは「私の家で女の私に失礼なことを言わないでください」と毅然と応じ、たじたじとなるジェルモンに秘密を打ち開けます。彼女が自分の財産を息子との生活のために手放しつつあることを知ったジェルモンは非礼を詫びます。アルフレードをどんなにか愛しているかと理由を説明する彼女に対し、ジェルモンは本題を切り出します。息子と別れてほしいというのです。駄目ですと即座に断るヴィオレッタに、彼はアルフレードの妹の縁談に差し支えるから、助けて欲しいと迫ります。ついに要求を受け入れ、彼女は身を引くことを決心します。しかし単に家を去ってもアルフレードは追いかけてくるだろう。方法は任せて下さいと請合うヴィオレッタに礼を言って、父ジェルモンはいったん去ります。

一人になったヴィオレッタは一計を案じ、アルフレードに手紙を書きます。彼女はアルフレードと別れて元のパトロンとの生活に戻ります、という偽りのメッセージを送ろうとしたのでした。そこへアルフレードが帰宅します。彼は父が訪ねていくという手紙を見て、すでに父が来たとは知らずに、ヴィオレッタに大丈夫だなどといいます。ヴィオレッタは、アルフレードの父が来るなら席を外して庭にいると言いその場を去ります。別れ際に彼女は「アルフレード、いつまでも愛しているわ、あなたも私と同じだけ愛して。さようなら」と歌います。アルフレードは彼女の様子を不審に思いますが、父親が来ることに動揺しているのだと思います。アンニーナが登場し、ヴィオレッタが急遽出かけたこと、手紙を預かったことを告げます。不安にかられつつ手紙を読み、アルフレードは自分が裏切られたと思い込んで激怒します。そこに父ジェルモンが再登場して、息子を慰め、故郷のプロヴァンスに帰ろうとなだめます。しかし息子は自分の受けた恥辱を濯ぐのだといい、パリに向かのでした。

第2場
パリ市内のフローラの屋敷
相変わらず貴族と愛人たちが戯れあう日々です。丁度仮面舞踏会が開かれていました。フローラとオビニー侯爵、グランヴィル医師らは、アルフレードとヴィオレッタが別れたという噂話をしています。ジプシーの占い師やマタドールなどの仮装の後、アルフレードが登場、彼らはカードの賭けを始めます。そこにドゥフォール男爵にエスコートされたヴィオレッタが登場、ドゥフォールはアルフレードを避けるようヴィオレッタに指示します。アルフレードはつきまくり、ヴィオレッタへの皮肉を言います。それに激高したドゥフォールも賭けに参加しますが、ドゥフォールはアルフレードに大負けします。そこに夕食の準備ができ、一同退場します。アルフレードとドゥフォールも後ほどの再戦を約束して退場します。アルフレードの身を案じたヴィオレッタは彼を呼び出し、自分のことなど忘れ、逃げて欲しいと訴えます。それに対してアルフレードは復縁を迫りますが、ジェルモンとの約束で真意を言えないヴィオレッタはドゥフォールを愛していると言ってしまいます。それに激高したアルフレードは皆を呼び出し、これで借りは返したと叫んで先程賭けで得た札束をヴィオレッタに投げ付けます。自分の真意が伝わらず、皆の面前で侮辱された彼女は気を失います。一同がアルフレードを非難しているところに父ジェルモンが現れ、息子の行動を諌めます。自分のやったことを恥じるアルフレードと、真相を言えない父ジェルモンの独白、アルフレードを思いやるヴィオレッタの独白、ヴィオレッタを思いやる皆の心境をうたい、ドゥフォールはアルフレードに決闘を申し込んで幕となります。

第3幕の前奏曲
悲痛な調子で演奏され、切れ切れになったフレーズでひっそりと、弱々しく終わります。

第3幕

パリのヴィオレッタの屋敷
数か月が経った。アルフレードは男爵と決闘して勝ち、男爵は傷ついたが快方に向かっています。国外に出たアルフレードに父親は手紙を書いてヴィオレッタとの約束を告白し、交際を許すことを伝えてヴィオレッタの元にもどるよう促しており、そのことをヴィオレッタにも手紙を書いていました。しかし、皮肉なことにヴィオレッタの生命は尽きかけていました。持病の肺結核が進行していたのです。

幕が上がると、ヴィオレッタがベッドに寝ています。彼女はアルフレードの帰りを今か今かと待ちわびています。何度となく読んだジョルジョからの手紙をもう一度読みます。読み終わった彼女は一言「もう遅いわ!」と叫び、過ぎた日を思って歌います。「ああ、もう全ておしまい」と絶望的に歌い終わると、外でカーニバルの行進の歌声が聴こえてきます。

医師がやってきてヴィオレッタを診察し励ますが、アンニーナにはもう長くないことを告げます。そこにとうとうアルフレードが戻ってきます。再会を喜ぶ二人は、パリを出て田舎で二人楽しく暮らそうと語り会います。しかし、死期の迫ったヴィオレッタは倒れ臥します。あなたに会えた今、死にたくないとヴィオレッタは神に訴えます。そこに医師や父ジェルモンが現れますが、どうすることもできません。ヴィオレッタはアルフレードに自分の肖像を託し、いつか良い女性が現れてあなたに恋したらこれを渡して欲しいと頼みます。

彼女は「不思議だわ、新しい力がわいてくるよう」といいながらこと切れ、一同が泣き伏すなかで幕となります。


アンナ・ネトレプコによるヴィオレッタのアリア

 カルロス・クラバー指揮の名盤

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